ふーみんの無限世界

エッセイ、詩、小説の可能性を信じて

息子のグループホーム入所 3

2月18日 駿宇の荷物を積んで、長男に借りた車で次男に運転してもらい、世田谷から出発。途中木更津市の役所に寄り、転入届を提出。
新しいグループホームだからか住所登録されておらず、確認のため時間がかかりましたが、なんとか手続きできました。
お昼ご飯を一緒に食べましたが、あまり時間がなく、ゆっくり別れを惜しむことはできませんでした。
ついに入居。
書類手続き、荷物の運び込み、駿宇は緊張していました。
部屋を、もともと駿宇が使っていた感じに家具を配置し、使い慣れたおもちゃを出して、いつも使っていた布団を出すと、落ち着いて遊び始めました。
駿ちゃんまたね、とできるだけあっさり挨拶して出てきました。
コロナ対策でこのあとしばらく面会もできないのだということを、この時に知らされました。
私たちは翌週にも会いに来るつもりでいたので、かなりショックでした。
駿宇が泣き出さないのが、せめてもの救いでしたが、もともとどこかにあづけるからと言って寂しがるような様子を見せることがありませんでしたから、この時もあっさりとしたものです。
ただこれからずっとここで暮らすことは、わかっていなかったと思います。
三人で来た道を、二人で帰る違和感。
置いてきたことに対するすまなさ。
本人が幸せに暮らしてくれるだろうかという不安。
そして離れて暮らすこれからに対する寂しさ。
でもいつかは通る道です。
何日も何日も、駿宇が家にいるような気がして、その度に、もうグループホームに行ったんだと自分を納得させました。
駿宇は電話で会話することはできません。
なので、職員さんにどんな様子か尋ねることしかできませんでした。
駿宇は好き嫌いはするものの、食事も取れ、グループホームにも慣れていったようです。
コロナ対策にため、それからひと月たってもふたつきたっても会えませんでした。
やっと6月に入り、厳しい条件のもと面会できることになりました。
面会人数二人まで、公共の交通機関使用禁止、職員立会いのもと、抗体検査(キットは家族が準備する)一時間以内、飲食禁止。
久しぶりの駿宇は予想通り少しやせていましたが、顔色も良く、落ち着いていました。
いつもやっていたやり取りも覚えていました。
一緒に音楽聞いたり、外の風景を眺めたり、話しかけて過ごしました。
差し入れにおもちゃとお菓子を持ってきたから、あとで、もらってねと話しました。
あっという間に一時間。
帰るとき玄関まで職員さんと一緒に出てきた駿宇は、一緒に行けると思っていたのかもしれません。
急に涙ぐみ、口をへの字にしました。
今まで一度も別れがつらくて泣いたことなどなかった駿宇が見せた初めての表情に私も次男も涙ぐみました。
それでも最後は笑いながら手を振ってくれました。
悲しい瞬間でしたが、感動もしました。
駿宇の成長を感じた瞬間でもありました。
そして、駿宇の人間的な感情、もちろんあると信じてきましたが、こんなにもはっきり感じられて嬉しくもありました。
一度も、お母さんと呼ばれたことはありませんでしたが、ちゃんとわかっていてくれたんだと、改めて思いました。
次に来るときはもう少したくさんの時間一緒にいたいです。

歌と恋

昔の歌を聴くと、その頃好きだった人のことを思い出します。


中学2年生の春、斉藤由貴さんの「卒業」菊池桃子さんの「卒業」という歌がヒットしてました。
卒業までは一年あったけれど、当時片想いの相手がいた身にはせつなさが沁みました。


彼は今で言うところのツンデレさんでした。
私のことを、厚化粧カッパと呼んでいました。
おかっぱ頭にしてたときもありましたけど、化粧なんてしたこともありませんでした。
部活であまりにも不出来だったので、そんなんだからレギュラーになれないんだよ、と言われることもありました。
初めてお前の顔見たとき、つぶれてるのかと思っただの、散々な言われようでした。
勝手にペンを取り換えられたり。
でも時々妙に優しくて、その落差にすっかりはまってしまったのでした。
雨の日に教室の曇った窓ガラスに指で、へのへのもへじを描いていたら、
「窓ガラスのへのへのもへじかー」
と言っていました。
当時そういう歌がありました。
懐かしい思い出です。


竹内まりあさんの「恋の嵐」
私が18歳の時、当時片想いだった相手の車の中でかかっていた曲です。
「俺はお前の気持ちには答えられそうにない」
そう言われて振られました。
歌とともに、甘苦しい気持ちが蘇ります。


カラオケで自分が若かりし頃の歌を歌うと、不思議と気分も若返ります。
先日ふと、斉藤由貴さんの「初恋」を歌ってみましたが、思ったより恥ずかしい歌詞でした。


好きよ好きですー、あーいしていまーすー♪
そのあと、
どんな言葉も違う気がするー♪


のあたりで、お笑い芸人の決まり文句を思い出し、恥ずかしさがさらに増し、
最後は、
はじめてのきもーちー♪


です。
恥ずかしさてんこ盛りです。


でも、やっぱり懐かしかったです。

朧月夜

闇の中をさまよい歩く 小さな影のように
灯台の明かりさえ与えられぬ人間たちに
正しい道を選んでいるかなど わかるはずもなく


ただひたすらに進むその道の先に
なにが待っているのか 知ることはできない


せめて満月の宵には 惜しむことなく
行くべき道を照らして欲しいと
朧月に願っても
ただぼんやりと浮かんでいるだけ


朧月夜に迷う子猫のように
人はただ心細く泣くだけのこと